「うーん……まぁ……」
言葉を濁す私の肩を、母はぎゅうぅっと強く揉んできた。
「いたたた!」
「シングルだからって狙われてるのかもしれないけれど、愛人だけは絶っ対に辞めておきなさい! 本妻をもらったときに、色々子供がどうだ、養育費がどうだって面倒なことになるんだから」
「もう本っっ当にそういうこと言うのやめて。葛城さんはご厚意でやってくれているだけだよ」
何も知らない母に今回ばかりはぴしゃりと言いのける。
じっとりとした疑いの目を見て見ぬふりをして、あやめの次の着替えを始めた。
母はもうはなから、秋人と私が釣り合っていないと見ており、変な妄想を働かせている。
昔同棲していて、あやめの実の父だと知ったら、腰を抜かすのではないだろうか。
「あぁ、本当によく似合ってるなぁ。……なぁ、結愛。この洋服をプレゼントしてくれた葛城さんには、写真は送るんだろうね?」

