「うさとんとりすたんか。この中だとツートップって感じだよな」
「そう、あの子は主役キャラにはまるタイプなの」
秋人とこんな他愛のない話をしてしまっていいのか……と思いつつ、
時間が過去に戻ったようで、やっぱり居心地がよかった。
私たちは、性格も生まれ育った環境も全然違う。
例え共通点がなかったとしても、彼といるときの私は、誰と居るときよりも自然だった。
結局あやめのことで盛り上がってしまい、あっという間に時間が過ぎていった。
会話が途切れたタイミングで、秋人は腕時計を確認する。
「結愛、そろそろ俺は出ないといけない。この洋服たちはまた、俺が直接君の家に届けるよ」
秋人は自然にそう告げたが、暗に私と会うことを希望した。
あやめのことを想って洋服を買ってくれた、彼の気持ちが本当に嬉しい。
できることなら、私も会いたいし、あやめに会わせたい。
けれど。そんなことをしたら、さらに私が秋人を離せなくなる。
「そ、れは……大丈夫だよ。この量だったら、頑張って持っていけるから」
急にたどたどしくなった私を見て、秋人はぴたりと動きを止める。
重たい沈黙が一瞬落ちたが、低く乾いた笑い声が耳に届いた。
「結愛は意地っ張りだな。だったら……秘書に車を出させる。今から君を家に送るように伝えるよ」

