『……ありがとう』
嬉しさのあまり、彼女を抱きしめる。
薔薇の甘く華やかな香りが俺たちを包み、祝福した。
その後は時間をかけ、彼女との仲を深めていった。
花が好きな彼女とは、都内にある日本国宝の庭園に散歩に行ったり、
少し遠出をして地方の森林公園にある花園や園芸イベントに出かけたりした。
特に木陰の下で彼女と隣り合い、ベンチに座っている時間が幸せだった。
陽光にあたる色とりどりの植物が俺たちを温かく見守っていてくれるようだったし、
赴くままに吹き抜ける風は俺たちの身体的な距離を縮めたり、ときに眠りに誘うこともあって心地よかった。
『結愛、好きだよ』
『私も……秋人といると本当に落ち着く』
仕事は多忙だったが、それでも合間を縫って彼女に会いに行った。
結愛からは心の安らぎを得られることの外に、向上心をも刺激された。
彼女は学校とアルバイトの合間にフラワーアーティストに繋がる資格を取得するために勉強を欠かさなかったし、
友人たちと個展を開くために作品を作ったりもしていた。
そんな彼女を、まさに花のようだと思っていた。
まだ満開ではなかったのかもしれないが、それでも美しく懸命に生きている彼女を見て生きる元気みたいなのを貰っていたように思う。
彼女のように俺も努力し続けたい。
そして彼女を一番に支えられる、大樹のようになりたいと……。
しかし互いが多忙のあまり、以前のように会えなくなった。
そしてついに俺は、彼女に一緒に住むことを提案した。
『秋人の邪魔にならない?』

