秋人は私を凝視して、何も言わない。

彼にとっては、どうしても私たちを引き離した事実は、許しがたいことなのだろう。

でも……それも彼の考えとして、絶対に正しいのだ。

秋人のほうを向こうと体を傾けた直後。

突然、彼は私の肩を抱き寄せた。

「! あき……」

「結愛と、俺たちの子を絶対に大切に扱ってほしい。もし……冷遇などしたら、俺は次こそ葛城家を出てゆく」

秋人は強い口調で秋人の父に言い放つ。

静かな目で私たちを見ていた秋人の父は、大きく何度も頷いた。

「分かっている。瀬名さんも、ふたりの子供も……葛城家として、これからは仲良くやっていきたい」

秋人の父の言葉に、ほっと胸を撫でおろしたそのとき――。

「ままぁー! ぱぱぁ!」

よく知る愛らしい声が近くで聞こえ、私と秋人は目を丸くした。

「あやめ!?」