鋭い目で秋人の父は秋人を見つめている。
秋人の父も、貴船フラワーが制作したフォトスペースが荒らされたことは、耳に入っているようだ。
「防犯カメラの解析は依頼してある。大体……見当はついているが」
秋人の低い声が響いて、さらに緊張感が高まる。
私が知らないところで、犯人捜しは始まっていたようだ。
検討がついているということは、やっぱり雪平さんなの……?
すると秋人の父はふっと乾いた笑みを浮かべ、重たい沈黙を破る。
「私も先程、いくつか録画を見せてもらって大体、人物を特定したよ。ただ……安心しきっているようだ。彼女は私が何もかももみ消してくれるとでも思っているのだろう」
秋人の父の言葉に、秋人はわずかに首を振る。
「だが、それは俺が許さない。大切な妻の晴れの舞台を、ぶち壊されそうになって黙っておけるわけがないだろ」
「ああ、お前の言う通りだ。それに……さすがの私も、彼女の品性を欠いた行動に、心底失望した。葛城堂にふさわしくない」
秋人の父の言葉に、目を見張る。
まさか、こうやって私たちを肯定してくれるとは、夢にも思っていなかったから……。
「瀬名さん。隠れていないで、私たちの前に姿を見せてくれないか」

