今日はバレンタインイベントの初日だ。
秋人が関係者といっしょに視察に回ることも聞いているし、絶対にここでこんなことをしている場合ではないのは分かっている。
それでも私を一番に考えて、秋人は手伝おうとしてくれるけれど、笑顔で首を振った。
「みんながいるから大丈夫! 絶対に頑張って完成させるから、応援してくれると嬉しいよ」
「結愛……」
秋人は私の言葉に納得したように頷いてくれる。
そして人目もはばからず、ぎゅうっと力強く体を抱きしめてきた。
ちょうど他の制作メンバーが数人やって来てしまい、しっかりとこの姿を見られてしまう。
「あの、秋人……ちょっと離れ……!」
「結愛、絶対にやり切れると信じてる。愛してる」
「……っ!」
秋人のまっすぐな言葉に、全身の熱が上がる。
みんなの注目を浴びているのはとても恥ずかしいけれど、自然と笑みがこぼれた。
「私も愛してる。秋人も、お仕事頑張ってね」
「ああ」

