その瞬間から周りの音が消え、速くなった心臓の音だけが聞こえる。
そんな私を、静かな瞳が捉えて離さない。
やはり、あのとき秋人の社長室で私が宮森さんたちと鉢合わせして、バレてしまったのだろうか。
「ち、違う。何度も言っているけど、あやめは秋人の後に付き合った人だよ、アルバイト先の同僚で」
悪あがきだと思うけれど、ここで認めるわけにはいかない。
なんとかしらを切って、この場をやり過ごさなくちゃ。
だから……。
「結愛がそこまで認めないのなら、調べさせてもらう」
秋人はそう言って、コートの中から手のひらサイズのチェック付のビニール袋を取り出す。
意味が分からずじっとそれを見つめると、中には細い髪の毛が数本と、切った後の爪が入っていた。
「結愛の家族に許可をもらって、あやめちゃんの髪と爪を頂戴した。これを鑑定にかける」

