船から降ろされ、待ち構えていた車に乗せられ、着いたのは都内のマンション。
地下駐車場に車を付けられたときにはさすがに戸惑ったけれど、ワインのしみがついたままのドレスではどこにも行くことはできず、尊人さんに促されるまま部屋まで入った。

「シャワールームはあっち。着替えも運んであるはずだから、とりあえず着替えて」
「はい」

船を降りマンションに向かう車の中でも、尊人さんは終始無言だった。
これは相当怒っているんだろうなと、私もあえて声をかけることはしなかった。
まあね、仕事で出たパーティーの席で騒動を起こせば怒られても当然。
ここは私が謝るしかないんだろうなと、覚悟はしている。

「はあー、またこれで尊人さんに頭が上がらなくなるわ」

シャワーで髪と体を流し、運んできてもらっていた着替えに手を通しながらついため息が出た。