再会した財閥御曹司は逃げ出しママと秘密のベビーを溺愛で手放さない～運命なんて信じないはずでした～

「沙月ちゃんがこの話を断るならそれでもいい。でもそれなら、僕と付き合ってくれないか？」
「は？」

話しの展開の意味が分からず、口を開けたまま固まった。

「驚かせてごめん。でも、ただ断るでは尊人も納得しないと思うんだ。沙月ちゃんと僕が付き合っているってなれば、尊人だって引くしかないだろ？」
「ああ、なるほど。って、そんなことできる訳ないじゃないですか」
びっくりした。付き合っていることにしようって意味か。
てっきり告白されたのかと思った。

尊人さんほどではないにしても弁護士でお金持ちのお坊ちゃんに違いない慎之介先生に、私が釣り合うはずもない。
いくらふりとは言えどこでどんな噂を流されるかわかったものではないし、慎之介先生にも迷惑をかけることになってしまう。
そんなことができるはずない。

「僕は本気だよ」
「だから、やめてください。そこまで慎之介先生に迷惑をかけることはできません。いくらふりだとしても、そんなことして変な噂が立ったらどうするんですか」
「え？」
驚いた様に慎之介先生が目を見開いた。
「ええ？」
あれ、話がかみ合わない。