「5年前、絢子さんに『自分が婚約者だから、尊人のためにもわかれてほしい』って言われて私も悩んだの。もちろん尊人のことは好きだったけれど、自分では尊人に不釣り合いな気がして、自信が持てなかった。だから、絢子さんの言う通り別れる決心をしたわ。でも、本心では別れたくはなかった」
子供じみた考えかもしれないけれど、あの時の私は尊人に引き留めてもらうのを待っていた。
「当時の俺は、沙月と徹君が一緒にいる写真を送りつけられ『新しい恋人は医学生だ』なんて中傷文を信じてしまった。それで、別れを承諾してしまったんだ」
「ええ、そうね」
どちらが悪いわけでもない。
ただお互いのコミュニケーション不足。
せめてどちらかが本音でものを言っていれば、このすれ違いは生まれなかった。
「妊娠はいつ分かった?」
「別れてすぐに父が亡くなって、事後処理が終わった頃だから2か月後くらいかしら。もう妊娠3ヶ月の終わりだったわ」
「そうか、苦労をさせたんだな」
「そんなこと・・・」
妊娠を知った時には驚いたし不安にもなったけれど、それ以上に私はうれしかった。
大好きな尊人の子供を持てて幸せだと思えた。
子供じみた考えかもしれないけれど、あの時の私は尊人に引き留めてもらうのを待っていた。
「当時の俺は、沙月と徹君が一緒にいる写真を送りつけられ『新しい恋人は医学生だ』なんて中傷文を信じてしまった。それで、別れを承諾してしまったんだ」
「ええ、そうね」
どちらが悪いわけでもない。
ただお互いのコミュニケーション不足。
せめてどちらかが本音でものを言っていれば、このすれ違いは生まれなかった。
「妊娠はいつ分かった?」
「別れてすぐに父が亡くなって、事後処理が終わった頃だから2か月後くらいかしら。もう妊娠3ヶ月の終わりだったわ」
「そうか、苦労をさせたんだな」
「そんなこと・・・」
妊娠を知った時には驚いたし不安にもなったけれど、それ以上に私はうれしかった。
大好きな尊人の子供を持てて幸せだと思えた。



