「お母さんは本当に大丈夫なのか?」
「ええ、顔を見て来たけれどとっても元気そうだった」

凛人を徹にお願いし、私は尊人と院内にあるカフェに入った。

「茶色いくせ毛も、白い肌も、俺にそっくりだな」
「・・・うん」

これはきっと、凛人は自分の子供だよなと聞かれているんだろう。
尊人は完全に、事実を察しているんだ。

「よく見れば、君と徹君もよく似ているな」
「そうかなあ」
あまり似ているって言われたことは無いけれど。
「あの時、俺はなぜちゃんと調べようとしなかったんだろう」
「それは、私が別れ話なんて持ち出したから」
尊人が誤解しても仕方がない状況だったと思う。

「妊娠を知らせたくないくらい、沙月は俺のことを憎んでいたのか?」
「そんなことはない」
「じゃあ」

そうだよね。
5年近くも経ってこんな形で自分の子供がいると知らされれば、なぜこんなことになったんだって聞きたいのは当然のこと。
私には説明する義務があるように感じた。