再会した財閥御曹司は逃げ出しママと秘密のベビーを溺愛で手放さない~運命なんて信じないはずでした~

診察室に入り、主治医の先生から説明を受けた。
内容はほぼ徹の話と一緒。
明日の朝には退院していいと言われ、今夜一晩だけの入院となった。
その後母のもとへ行き顔を見ることができたが、やはり元気そう。
私はこの時、やっと胸をなでおろした。

「彼、なかなか頑固だね」

母さんが検査のためにベットを離れ、2人になったタイミングで徹が声をかけてきた。

「そうね」

優しいけれどちゃんと信念を持っていて、違うことは違うとはっきりと言ってくれる人。
もちろん普段なら私も自分の意見を言うのだけれど、今はちょっと分が悪い。

「凛人のこと、話していなかったのか?」
「うん、まあね」

当時の私にはそれなりの思いがあったし、妊娠がわかった時には話そうとしたけれど連絡をとることもできなかった。
騙すつもりは無かったけれど、結果的に彼を傷つけてしまったのは間違いないだろう。

「まあ、誠心誠意謝るんだな」
「うん、そうする」

さすがにガックリと肩を落としてしまった私に、「俺だったら簡単には許さないけれどな」なんて追い打ちをかける弟を睨んでしまった。
でもまあ悪いのは確かに私だし、いくら怒られても謝るしかないのだろうな。

その後、凛人は見ているから話をして来いと背中を押され、私は尊人のもとに向かった。