再会した財閥御曹司は逃げ出しママと秘密のベビーを溺愛で手放さない~運命なんて信じないはずでした~

「大体、あなたにそこまで言われる筋合いはないんじゃないですか」
困り果て黙ってしまった私をかばうように、ボソリとこぼれた徹の言葉。

「ちょっと徹」
さすがに失礼じゃないのと声をあげようとした私を、尊人が遮った。
「確かに、そうだね。息子でも娘でもない俺が、口を出すべきではないのかもしれない。でも、部外者でもないはずだ。違うか、沙月?」
真っすぐに、挑んでくるような視線が私に向いている。

今までの話の流れから、尊人は凛人が自分の子供だと気づいている。
その上で、自分にもものを言う資格はずだと言っているのだろう。

「わかりました。今日と明日お休みをいただいて、母に付き添わせていただきます」
結局そう答えるしかなかった。

「佐山さん、先生からお話がありますので中へどうぞ」
ちょうどこのタイミングで、診察室から呼ばれた。

「凛人君は俺が見ているから行っておいで」
そう尊人さんに言ってもらい、私と徹は救急外来の診察室へと入った。