「それで、母さんの倒れた原因は何だったの?」
私の恋人だと思っていた男が実の弟だったと知り、混乱している様子の尊人。
尊人の動揺ぶりから薄々の事情を理解したらしい徹と、徹に抱かれうれしそうな凛人。
私はこの状況をどうしようかとしばらく考えていたが、まずは母さんの病状を確認するのが先だろうと思いなおし声をかけた。
「熱中症らしい」
「熱中症?」
それって夏に起きる病気でしょ?
今はもう秋だし、確かに昨日は暑かったけれど、真夏の暑さとは違っていた。
「初夏や秋にも熱中症は起きるんだよ。むしろ大丈夫だろうと油断するから余計に危ない」
「そんな・・・」
いくら油断があるにしたって、倒れるくらいに暑いなら自分で何か対策をすべきだったはずで、母さんにそれができなかったとは思えない。
「母さん自身も、多少熱いなとは思ったがもう秋だから大丈夫だろうと油断したって言っていたよ」
「そうなんだ」
大事に至らなくて本当に良かったけれど、そんなこともあるのね。
「念のために今夜一晩は病院へ泊って経過観察をすることになる。病院へは俺が付き添うから」
「ありがとう。でも、勤務は大丈夫?」
研修医って馬鹿みたいに忙しいって聞くのに。
「ああ、病院は基本的に完全看護だし、俺の職場もここだしね。心配はいらないから、姉ちゃんは仕事に行けよ」
「うん」
もちろん長期の入院になるようなら仕事を休んででも付き添うつもりだった。
でも母さんも軽症のようだし、悪いけれどこのまま徹の言葉に甘えよう。
この時の私はそんなことを考えていた。
しかし、
「ちょっと待って」
それまで放心状態だった尊人が、急に声を上げた。
私の恋人だと思っていた男が実の弟だったと知り、混乱している様子の尊人。
尊人の動揺ぶりから薄々の事情を理解したらしい徹と、徹に抱かれうれしそうな凛人。
私はこの状況をどうしようかとしばらく考えていたが、まずは母さんの病状を確認するのが先だろうと思いなおし声をかけた。
「熱中症らしい」
「熱中症?」
それって夏に起きる病気でしょ?
今はもう秋だし、確かに昨日は暑かったけれど、真夏の暑さとは違っていた。
「初夏や秋にも熱中症は起きるんだよ。むしろ大丈夫だろうと油断するから余計に危ない」
「そんな・・・」
いくら油断があるにしたって、倒れるくらいに暑いなら自分で何か対策をすべきだったはずで、母さんにそれができなかったとは思えない。
「母さん自身も、多少熱いなとは思ったがもう秋だから大丈夫だろうと油断したって言っていたよ」
「そうなんだ」
大事に至らなくて本当に良かったけれど、そんなこともあるのね。
「念のために今夜一晩は病院へ泊って経過観察をすることになる。病院へは俺が付き添うから」
「ありがとう。でも、勤務は大丈夫?」
研修医って馬鹿みたいに忙しいって聞くのに。
「ああ、病院は基本的に完全看護だし、俺の職場もここだしね。心配はいらないから、姉ちゃんは仕事に行けよ」
「うん」
もちろん長期の入院になるようなら仕事を休んででも付き添うつもりだった。
でも母さんも軽症のようだし、悪いけれどこのまま徹の言葉に甘えよう。
この時の私はそんなことを考えていた。
しかし、
「ちょっと待って」
それまで放心状態だった尊人が、急に声を上げた。



