再会した財閥御曹司は逃げ出しママと秘密のベビーを溺愛で手放さない~運命なんて信じないはずでした~

翌日夕方。
慎之介からの連絡は思いのほか早くきた。
ちょうど沙月が退社した後、慎之介は突然俺のもとを訪ねてきた。

「今いいか?」
「ああ」

なぜだろう慎之介の声が強張っている。

「沙月ちゃんに今何が起きているのか調べてみたぞ」
「それで?」

「彼女は今ストーカー被害にあっている」
「ストーカー?」

恋人や、慎之介や、クリニックの医者以外にも、付きまとう男がいるっていうのか?

「ストーカーと言っても男じゃないぞ。要は嫌がらせだ。10日ほど前から彼女に対する無言電話や子供への声掛けの事件が続いているらしい」
「子供にって・・・」

自分一人のことならいざ知らず、まだ小さな子供になんて酷い。
きっと沙月も不安なことだろう。
そうか、だから沙月は憔悴していたんだ。

「それで、犯人はわかっているのか?」
「それなんだが・・・」
慎之介が言葉を濁す。

どうやら目星はついているようだ。