一瞬、何を言われたのか分からなかった。

 だって、こんなに白くてもふもふで可愛いララが

「えぇぇぇ、男の子!? でもララは、もともと夕菜がもってた人形で、名前だって夕菜がララってつけてて、それに、服だって女の子っぽかったし!」

「まぁ、動物の人形は、性別がわかりにくいからね」

「いやいやいや、だって俺、ララと5年も一緒にいるんだぞ! それなのに5年間ずっと男の子としらず、女の子扱いしてたなんて!ゴメン、ララ!!」

 俺は、慌ててララに頭を下げた。
 だけど、ララは、俺を見てニッコリ笑うと

「颯斗、謝らないで。ララね。夕菜に捨てられそうになった時すごく悲しかったの。でも、バザー行きの箱の中から、ハヤトはララをこっこり助けてくれて、ララにたくさん可愛い服作ってくれたでしょ。ララ、颯斗が作った服なら、男の子の服も、女の子の服も全部着てみたい!」

「着てみたいって。でも、お前、男の子なんだし、女の子の服は」

「いいんじゃない。本人が着たいって言ってるんだし」

 すると、アランがララの頭を撫でながらそういった。

「それに、人形に着せた服は、そのまま実体化した時の服にもなるから、年齢に応じたカールとシャルロッテの服を作るのは、すごく楽しかったよ。だから、ハヤトも、ララちゃんにいろんな服作ってあげるといいよ」

「作るって! シャルロッテさんたちの服、アランが作ったのか!?」

「そうだよ」

 驚いた。俺と、年が変わらないくらいなのに、あんなに細かくて、繊細な服を作れるなんて――

(本当に、裁縫が好きなんだな)

 俺と同じように可愛いものが好きで、同じ趣味を持ってるアラン。

 だけど、アランが作ったカールさんの服を見て、見てふと思った。

 男の人の服なのに、どことなく可愛らしさも入り混じってる。

 でも、カールさんは、その服をすごくカッコよく着こなしていて、それに比べて、今、ララが着ているピンク色のワンピースは、すごくシンプルで、アランが作った服と比べたら、全く可愛くなかった。

 こうして実体化したララが着ているのを見れば、余計にそうおもってしまって、次作る時は、もっとかわいい服を作ってあげよう! そんな気持ちが、ふつふつと湧いてきた。

「それより、そっちの子は?」

「え?」

 だけど、次にアランは、花村さんに目を向けた。

「あの、この子は、花村 彩芽さんといって、俺のクラスの」

「あぁ、なるほど。颯斗に巻き込まれちゃったんだね。ごめんね、僕の仲間が迷惑かけて」

 そういうと、アランは首元から本型のネックレスを取り出した。そしてそれは、また手の平で魔導書に変わって

「でも、大丈夫だよ。その記憶、今すぐ僕が消してあげるからね」