「え!? それはムリ!」

「なんで?ララちゃんしだいとはいえ、持ち歩かなきゃ、いざって時、助けてもらえないよ?」

「そうかもしれないけど! 俺の小学校、ぬいぐるみとか持っていっちゃいけないし! 体育だってあるし、ずっと持っとくのはムリだって!」

「うーん、そっか。なら、これをあげるよ」

 すると、今度は、アランがパッと手のひらに、銀色の輪っかを出現させた。またもや、手品みたいに。

「わ、なにそれ、可愛い」
「でしょ~、僕がデザインしたんだー」

 それは、5ミリ幅くらいの腕輪だった。大人の女の人がつけてそうな、オシャレな腕輪。

 側面には、三箇所、十字架の模様が入っていて、シンプルだけど、すごく可愛い。

「僕のは、これと色違いの"金色の腕輪"なんだけど、結構便利なんだよ」

 すると、アランは腕輪をした方の手を、水平にした。すると

「お呼びですか? アラン様」

 その上に、いきなりシャルロッテさんが現れた。あ、人形の方の!

「いきなり呼び出して、ごめんね」
「かまいませんわ」
「中で何してたの?」
「カールとオセロしておりました」
「あはは、楽しそう~」

 シャルロッテさんと、楽しそうに話すアラン。だけど、いきなりのことに俺は驚いた。

「シャ、シャルロッテさん、今までどこにいたの!?」

 いつの間にか消えていたから、てっきりあのお化け屋敷にでも、帰ったのかとおもってた。すると、シャルロッテさんは

「ずっと、傍にいたわよ。この腕輪の中に」

「え!?」

「あはは、びっくりした? これはね。ちょっとした魔法道具なんだ。簡易ポケットみたいなものかな?」

「簡易ポケット? あ! もしかして、昨日のカラスも、その腕輪から!?」

「あー、レイヴァンのことか。うん、手の平に乗るものなら、何でも収納できる。僕は、金色の腕輪をしてるけど、君は人間だからね。レベルを落として、"銀色の腕輪"をあげるね」

「? どう違うんだ?」

「金の腕輪は、魔力を使うかわりに無限に収納できる。でも、銀の腕輪は、魔力0でも使える代わりに、収納できる数が少なくなるんだ。一度に収納できるのは、せいぜい2~3個かな?」

 そういうと、アランは簡単な呪文を唱えたあと、俺の左腕に、その銀色の腕輪をはめた。