何が起こったのか、その音は、続けざまに何発も響くと、それから暫くして、俺の前に誰かが降り立った。

 恐る恐る目を開けば、そこには、執事のような黒服を着た男の人がいた。

 黒髪で整った顔立ちをしていて、背が高い高校生くらいの男の人。

 その男の人は、俺を守るようにライオン男の前に立つと、ガチャッと手にしていた拳銃を、ライオン男に向けた。

「き、貴様は!」

 すると、その男の人を、ライオン男がキッと睨みつけた。

 さっき音は銃声だったらしい。ライオン男は、撃たれたのか、膝をついて太腿と押さえていた。血は出てないけど、なんだか痛そうにしてる。

(……誰だ?)

 ただただ地面の上に座り込んだまま、俺は呆然と、男の人を見上げた。

 何が起こっているんだろう。
 このカッコいいお兄さんは、誰なんだろう?

「ハヤト」
「……!」

 すると、今度は、俺の後ろから声がして、俺は、ゆっくりとふりかえる。

 するとそこには、執事服の男の人と同じ年くらいの女の人がいた。

 赤と黒のゴシックドレスを着た、綺麗な女の人。

(あ……あの服)

 そして、二人の服には、見え覚えがあった。それは昨日、俺が縫ってあげた――

「シャルロッテ……さん?」

 そう問いかければ、目の前の女の人は、優しく笑ったあと、昨日は持ってなかった傘を、魔族たちに向けて──構えた。

「もう大丈夫よ、ハヤト。あなたのことは、私達が、必ず守ってあげる」