考え事をしていたせいなのか、一度とおったはずの道がまた現れて俺は首をかしげる。

(あれ、ココ、さっき通ったよな?)

 いつもの通学路。けっこう歩いたと思ったのに、おもったより進んでなくて、不思議に思いながらも、またその道を進む。

 だけど──

(ッ……やっぱり、おかしい!)

 ランドセルをきつく握りしめて、スタスタと足早で歩く。

 だけど、いつもなら誰かしらすれ違うのに、今日は誰ともすれ違わなかった。

 下校中の生徒もいないし、郵便配達のお兄さんもいないし、買い物がえりのおばあさんもいない。

 なんで、誰もいないんだろう。

 なんで、俺は、同じ道をぐるぐるしているんだろう……!

「アラン様!!」

 すると、電信柱の上から声がした。
 それは、昨日、俺を散々追いかけまわした

「あぁ、ヘビのオッサン!?」

「はぁ!? 私はまだ86だ! オッサンと呼ばれる年ではないわぁぁ!」

 現れたのは、昨日のヘビ男。

 しかも、オッサンといわれて、すごく怒ってる。ていうか、86歳って若いの!? 俺の感覚だと、オッサン通り越して、おじいちゃんだけど!?

「おっと、これは失礼いたしました。我らが魔王様の大事なご子息に向かって、なんて舐めた口を。ですが、さすがはアラン様! 人間に子供になりきるその演技力の高さ、恐れ入ります」

 あ、コイツまだ、俺の事アランだと思ってる。それはそうと、やっぱり昨日のとは、夢じゃなかったんだ!

「さぁ、アラン様! 我らと一緒に帰りましょう!」

「!?」