その後、ミーが階段からおりてきたのを見て、俺もミーの元にかけよった。

 だけど

「ん? お前、なに咥えて」

 ミーの口元を見て、俺は首をかしげる。

 膝をついて、ミーを抱きあげれば、ミーはララと同じくらいの"小さな人形"をくわえていた。

 もともと人形で遊ぶのが大好きで、ミーは、よくこうして俺や夕菜の人形を持っていこうとするんだけど……

「これ、どっから持ってきたんだよ」

 ミーの口元から、そっと人形を抜きとると、俺は改めて、その人形を見つめた。

 赤と黒のゴシックドレスを着た、女の子の人形。

(わ……この人形、すっごく可愛い)

 目にした人形は、今まで見たどの人形よりも可愛いかった。

 髪がサラサラで、表情も穏やかで、すごく大人っぽい。

 しかも、手や足が棒じゃない。

 布と綿で作られた人形なのは確かなのに、その手足にはしっかり関節があって、俺が普段つくるものとは、明らかにレベルが違った。

(スゲー……これ、ここに住んでた人が持ってたのかな? 布製なのにちゃんと動く。それに、このボタンも小さいのにおしゃれだし。あ、この模様は刺繍してあるのか。うわぁ、こまかい……ってか、この人形センス良すぎ!)

 さすが、お金持ちの人形!──といいたくなるような、品のあるぬいぐるみに、思いのほか感動してしまった。

 可愛いし、綺麗だし、芸術的なセンスすら感じる!
 だけど、ひとつ残念なのは

「これ、うちのミーがやったのかな?」