「あっ、きたきた!ドタキャンするかと思ったよ」

俺、岸結衣斗(きしゆいと)、中学三年生は彼女との待ち合わせをしていて、今から待ちに待った

デートです。

「して良かったのか?」

「え?だめに決まってるじゃない」

なんていう展開にはならん。

彼女がいたことない歴、年齢の自分が彼女ができたら誰よりも自分がびっくりすると思う。

ってか、だめならドタキャンするかと思ったとか言うなよ……。

「ささっ、入ろ入ろ!」

目の前に見えるのは、今にも何かが飛び出してきそうな闇に溶け込んだ学校。

まあ実際にコウモリが飛んでるけど……。

七不思議の話をする時のようにニコニコで俺の手をとってスキップ混じりに学校に忍び込むフシギ。

こいつにはこのドス黒い雰囲気の学校が遊園地にでも見えてるのか?

だとしたら本格的に頭いかれてるな。