「ねえねえ、北条くん……こんな話知ってる?」

「何?急に」

こいつは……同じクラスのフシギ菜々か……。

結構可愛いのに七不思議の話ばっかするのが欠点なんだよな……。

「ある女の子二人組がね、夜中に学校に忍び込んで北校舎の3階にある開かずの間に

行ったらしいの」

あ、こういう系の話、俺むり……。

俺の恐怖の塊が、これから始まる話を拒絶している。

「あの、それ以上は……」

「昼間は開かないはずの扉が開いて、中には髪の長い女の人が立ってたんだって……」

俺が止めようとしたのも平気で無視をして話を進めるフシギ。

「そ、それで……?」

フシギはこういう話をするのがうまい。