朝、ぶつかったのはビビったけど。


「ねぇリクト。さっきの子って誰?」

「あぁ、ただのクラスメイトだよ」


俺はいつもの変わらない笑顔でそう言った。

そう、アイツはただのクラスメイトにしか過ぎない。

それ以上でも以下でもない、はずなのに…

なんでこんなにも気になるんだ?あの涙は何だったんだ?あーもう、むしゃくしゃする。

考えれば考えるほど、俺の中でアイツの存在が大きくなっていくのが分かった。


「なんかリクト、怖い顔してるよ?」

「あ、ごめん。ちょっと考え事してた」


そう言って笑顔を見せると隣にいる女はホッとしたように微笑んだ。

俺は変わらず、このままの生活を送る。

笑顔を振り撒いて、喜んでる女を見て嘲笑う。

やっぱりクズはクズのまんまなんだよ。

何も変わらねぇ。いや、何も変われねぇんだ。