「俺は、お前に消えてほしくないんだよ」



夜空瞬く星空の下。


人間の姿に戻った矢先。


とある公園の芝生の上に、2人で一緒に体育座り。



肌寒い空気にしんみりとしながら、次の言葉を投げるタイミングが見当たらない時に、それは投げられた。




夜景がやけに綺麗で、息を呑んでいた時だった。



「お前に、あんな酷いことを言ったのは………怒って欲しかったんだ……そして、天界に帰って欲しかった」



「……嫌いだから、言ったんじゃないの?」





「半分本当だったけど、半分嘘だ」




「どうゆうことなの?」



「あぁ……めんどくせぇーな………家族だからこそ、こういうとき、どうゆうふうに言えばいいか、わかんなかったんだ!!弟一直線だったから、距離がわからなかったんだよ!!お前のことを大切にしたかったから、怒って天界に帰ってくれたらーー死なないで済むだろ?」





やっぱり、理央くんは不器用だ。




とっても、馬鹿が付くほど、器用じゃない。



「俺は、お前に死んでほしくない。お前がいた記憶がこの世界から消えたら、俺は………辛い」




「それって、いわゆる……」




「す……好きかもしれねぇってことだ。よくわかんねぇーけど」

すごく照れくさそうに、眉を顰めてそう呟いた。


「どうして、僕の事……好きになったの?」




「お前が、周りを笑わせて、明るくさせている所をみてたら、引かれたんだと思う……わかんねぇーけど」




「そっか……、そっか!!」



理央くんを僕は抱きしめた。




「え……おまっ、何する!?」



「キスの代わりだよ。抱きしめるくらいいいでしょ?好きなんだから!!」



「辞めろよ!!別れるときが辛くなるだろ!!」



ーーー別れる?



疑問に思っていると、理央くんはポッケから指輪を取り出した。




「高級なものは買えなかったけれど、これつけてくれ」



リングを月の光に透かす。



反射して、輝くリングは神秘的。



「結婚指輪みたい」




「………照れるから辞めろ」




「でも、別れるってどうゆうことなの?」




「もしお前が、天界に戻ったとしても、離れていたとしても、このリングさえあればどこにいても同じだってこと」




もう一つ、同じリングを取り出して薬指にはめる理央くん。



「理央くん………」




「離れていても、俺達は一緒。それくらいお前に学ばせられたから、これくらい容易い」




「そっか………僕やっと決めたよ」




「どうするんだ?」



「天界に戻る。この僕がいた記憶を消さない。天界に行っても、僕達二人は、ずっと一緒だから!!」



月夜の光が、僕たちを包んで笑っていた。