「妻を離せ!!」
お父さんは、刀を構え男に向ける。
その緊迫した空気を裂くかのように、上級天使はお母さんの髪を掴み上げ腰元にあった透明な剣でお母さんの首元に当てる。
「状況がわかっていないようだな。元人間。剣を降ろし抵抗を辞め鍵を渡せ。さもなくばこやつの命はないぞ」
僕はとっさにお父さんの後ろに隠れた。
まるで自分が殺される処刑台の前に行くような、複雑な気分だったからだ。
いきなりやってきた、上級天使に事情が明るいものだと思えないし。
「お父さん………なんなの?!これ?!どうゆうこと?」
「………」
相変わらず無言だった。
「鍵の中に、誰かいるのか?まさか………お前らっ!!」
上級天使の表情がみるみるうちに、鬼の形相になってゆきあまりの怒りなのか、お母さんの髪を横薙ぎに切り裂く。
その反動で、お母さんは床に倒れる。
「第1235条 「人間の血筋を持つもの天界に入れてはならぬ」 第1236条「下界に住んでいた人間と結ばれてはならぬ」ーーーこの2つの禁忌を犯してのうのうと暮らしていたのか!!貴様ら!!」
雄叫びを開けた瞬間、続々と周りの部下であろう天使たちが続々寝室に入ってきた。
ーー第1235条 「人間の血筋を持つもの天界に入れてはならぬ」?なんだか引っかかる……。


