「何言ってるのよ。人間っていうのは裏表を器用に使い分ける蛇より賢い生き物よ。中には表の顔をして、私達の正体に探りを入れて利用しようとする悪者もいるから怖くて一緒に住めないわ………。それに悪魔も彷徨いている世界だから、やり返されたら終わりだしね。残念だけど」
ーーーいや………お母さんが今口にしたのは、きっと本心じゃない。
確信的な理由はないのに、どうしてもそう感じざるを得なかった。
直感的に、感覚的に直ぐ様これは本心じゃないって感じたのは何でだろう………。
インターホンがなる。
お母さんはさっきのことはなかったかのように、ベッドをあとにした。
するとすぐさま鍵が光だし、僕を包む。
黄金の蝶たちに包まれ、爽やかな風が全身を駆け抜けたかと思うと僕は青白い光の空間で浮かんでいた。
ーーーこれは………一体、どうゆうこと!?
目の前には、水晶玉が浮かび僕のベッドが映し出されていた。
よく目を凝らして、水晶玉の部屋の中を見てみると鏡が見えたんだ。
その鏡の中には「愛の鍵」が僕のベッドの上をゆらゆらと動き回っている。
ーーまさか………僕って「愛の鍵」の中にいたりする?
右腕を降ってみた。
鍵は右回りにくるくると舞う。
左腕を振る。
鍵は左回りにくるくると舞った。
空中を数歩歩いてみる。
僕の世界は、虚しく足が空気を裂くだけで歩いた気配がないけれど鍵は北向きに進んだ。


