「じゃあ僕……理央くんと一緒に高校に行けるの!?」
「早い話、そういう事になるわね」
「凄いじゃん!!有馬お兄ちゃん!!」
「何も凄いことじゃないだろ………」
目玉焼きの黄身を潰した矢先に、そんな方法が入ってきて、ちょっと心が軽い。
「お前、そんなに高校に行きたいのか?理解ができないな俺には……」
ワイシャツの袖を通している矢先に、理央くんはそう答えた。
「僕はどうしても、行きたかったんだ……人間の学び舎に!!」
「そう……ならよかったな」
「でも、どうしてその話を提案してくれたの?理央くん……?」
「そ……そうだな……俺の気まぐれってか、学んでほしいことがたくさんあってな……お前に」
「例えば!!」
理央くんに嫌われてしまっていると、勘違いした僕。
詰め寄った矢先に、理央くんは露骨に嫌な顔をして僕の額にデコピン。
「そういうところだ。気安く人間のテリトリーに入ってくるんじゃねぇー」
頭の額を抑えながら、よろけて尻もちをつく。
「ご……ごめんなさい」
「んでなんてお前、スーツに着替えてるんだ?」
「え?夏目さんに買い物を頼まれたから、着替えてるだけだよ?」
「他に洋服は?」
「あるけど……くまちゃんパーカーしかなかった……」
「俺の父さんは……よく着てたから無理ないかもな……メンタルも立派な人だったから」
「素晴らしい、お父さんじゃん!!僕も見習って、やっぱり着ようかな!!夏目さんにめちゃくちゃ止められるかもしれないけど!!」
「やめてくれ!!俺が気まずい!!」
パーカーの件で、一悶着したあとーー。
「じゃあ、昼過ぎに帰ってくるんだな?」
「もちろん!!明日の体力残す為にお昼寝も欠かせないからね!!」
「では、いってら」
「うん!!行ってくるよ!!」
僕は呑気にスキップをしながら、スーパーに向う。
その様子を、心配そうに遥くんが、見ているのを知らずに。
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