遥くんの体が空へ投げ出される。


こんなに人を助けたいと思ったことはない。



僕を見捨てず、自分自身が傷ついていてもなお、出来損ないの僕を助けようとしたのに。



僕はただ見ているだけなのか?




その答えはノーだった。



僕はありったけの数少ない魔力を絞り出す。




僕の体は鱗が全身に現れ、人ざるものになってゆく。



羽交い締めで絞め殺そうとした、漣くんが異変を感じる。



銀色が輝く、大きな2メートルはあろう大蛇に変化した僕は直ぐ様全ての野次馬を抜け出して、上級をすり抜けた。




そこに見えたのは、僕を驚愕の表情で眺める人々の目だった。




それも無理もないだろう。



通常では起こり得ないような出来事が、すぐ目の前で起こっているのだから。



「遥くん!!」




「有馬兄さんっ?!だめだーーー」





最後まで言いかけた時は、僕らは川に落下。




大蛇の僕が下敷きになり、何とか遥くんは無傷。


僕は沢山の人間に、姿形をみられてしまった。



後戻りはできないだろう。



「遥くん……僕を降ろして」



大蛇の僕は、水の中にある草花へ逃げて気配を消す。



浅い水深だったからか、僕ら2人何とか無事。


ゆっくりと遥くんが、水面から上がると皆は口お抑えてたじろいだ。



蛇がいない事への悟りだろう。




「お………お化けがでたぞーーっ!!」



漣くんの取り巻きが、騒ぎ出した。



ほかも伴って、どよめきと絶叫が轟く。




その日以来、遥くんはイジメられなくなって、平穏な日々を送ることができているとのことだった。



でも、友達は未だに出来ずに、恐れ慄いて皆が近寄らないってのもあるらしいけれど。