「うわぁっ!!!」



地に足がついたと思いきや、壮大に転ぶ僕。



「いらっしゃ~い」



顔を上げてみると、そこにいたのは深いローブを被った女性がそこにいた。




「えっと………誰?っていうか、ここってーー」




沢山の本棚達が、見渡す限り10回建てはあろう高さに相当するぐらい積み上げられていた。




それは見渡す限り視界が埋まるほどで、恐ろしいほどにだだっ広い、コンサートホールの広さを誇っている床をよけるようにだ。




「私、貴方の鍵よ。よろしくね」




「ぜ………全然雰囲気違う………」




「そりゃー、物と人間ですものね。違うに決まってるわ」




握手しようとしたら、深いローブを被った女性の手に一冊の本が現れた。



「知りたいでしょ?どうやってお父さんとお母さんが結ばれたか」




「そりゃー、そうだけど………」





一瞬、理央くんの元へ行けるのではないかという淡い期待を飲み込んで手を引っ込めた。




「いきなりこんな風に、行動するのもちょっと身が引けるし、よくないと思う」




「じゃあいいの?あの、理央って人が別の端ない女に取られてしまっても、全然平気ってわけなのね?」




痛いところをついてきて、胸が苦しい。




「じゃあ、どうするのが適任だっていいたいの?僕は先祖代々の罪を守る為に、懸命にもがいて苦しんで、不要なことを今まで我慢してきた!!そうする事で今まで天界と地獄は何もない平穏な日常を送れてーーー」



「じゃあ、貴方の本心ってのはその人外界全部に入るって事を考慮しないわけ?」





「………何言ってるの?」




「何言ってるって………貴方が幸せじゃなかったら私はこの世界が平和だって思えないわねー。だって貴方も罪を犯したご先祖様を引きずってるけど、立派な外界の住人じゃない。平和を考えるなら、あなただってそのチームの一員として考えなきゃ、話の筋が通らないわ」




確かに一理はある。




僕だって、外界の住人の一人だし、平和や幸せをちゃーんと考えられなきゃいけない対象なのかもしれない。




人間界でも、すべての人間には平等で人間としての権限があるって、言われているから。



でも……お父さんとお母さんは、天界であるルール「人と天使は愛し合ってはならない」という禁忌を破って天界に居座った。




それって、今考えて良いことなのかと、頭を悩ませる事があるんだ。



だってルールを破るってことは、誰かの迷惑になるってこと。



迷惑をかけて、自分の思いをぶつけ貫き通すという生き方は、逆に周りの人々を不幸の底に突き落とすのではないかって思うんだ。



現に、僕は不幸な目にあって因果を背負う存在になって、天界に住む権限を奪われた身だ。