「僕……ここに住んでいいの?」


周りの家をみて目を輝かせながら、ため息を吐く様にそう付いた言葉に、時間はかからなかった。



「天界から子供が落ちてくるなんて、よほどの事情がなければそんな事は起きないからね………。見放せないの。これは私達のおせっかいだと思って、甘えてちょうだい」




正直その言葉を聞いた時は、とっても自分が悪い事をしているような気分にはなった。



だけどどうやったとしても、僕はまだ子供だ。





ここは正直になって、ご厚意という意味を込めて甘えていた。




それから五百年ーーー人間で言うところの5歳になって、去年おばあちゃんが亡くなったというのにまだこの森にとどまって平穏な日常を生きている。


「んで?儂らが死んだらどうするんだ?有馬?」




パンにマーガリーンがはみ出るほど塗って、かじる爺さん。




「………分からない。今のところ………予定はないな」




「それじゃいかんぞ、有馬………お前はもう小さい子供ではないじゃぞ?」



爺さんはトーストをひとかじりしたあと、「お腹いっぱいじゃ。お皿を捨てなきゃのー」といって、トーストをゴミ箱に捨てた。





ーー僕だって、どうしたらいいのか分からないよ……。お爺さんのことも、僕の将来のことも……。




心の内がどんどん締め付けられて、息苦しいほど、背中が曲がってくる。