「理子がいいなら、僕はそうしてもいいけど。楓もいいよな?」
「ああ」
わたしはホッと胸をなでおろした。
*
「あっ、野々村くんたちっ」
「ホントだ!」
「キャッ、うれしー!」
樹くんと楓くんの姿を見つけたとたん、女の子たちはざわっと色めきたった。なかには泣きだしちゃった子もいた。
それはそれで、幼なじみとしてわたしもうれしかったのだけど、少し困った事態になっちゃった。
というのも、あっというまにたくさんの生徒たちに囲まれちゃって。
「ちょっと、どいて!」
クラスメイトやファンの女の子たちに、なぜだかわたしだけポイッと輪の外に追いだされちゃったんだ!
「もうケガはいいの?」
「痛くない? 平気?」
みんなは樹くんと楓くんに話しかけようと、いっしょうけんめいになっている。
いきなりでだいじょうぶかな……。
