「かーっ、めんどくせーな。わーったよ!」
「樹くんの顔で、そんな言葉づかいしないのっ。ほら、シャツのボタンもちゃんとしてっ」
「うっせーな!」
楓くんはそう言いながらも、制服のシャツのボタンをいちばん上までとめた。
「うん、よろしい!」
「だいたい理子は心配しすぎだっつーの。おれたちはふたごのきょうだいなんだ。生まれる前からいっしょにいるんだぞ」
わたしだってわかっているよ。
樹くんと楓くんは、たがいのことを本人以上によくわかっているって。
でも、それでもやっぱり心配は心配だもん。
どうしても気になっちゃうんだ……。
「言葉づかいと服装だけじゃ、ぜんぜん足りないよ」
わたしは心を鬼にして、楓くんに反論した。
「樹くんは楓くんとちがって成績がいいから、急に頭がわるくなったらヘンでしょ。いっぱい勉強しないと。それから大股で歩かないし、授業中に寝るなんてこともないし、とっても品がいいし――」
