樹くんの手がやさしく、わたしの頭をなでてくれる。

「僕は急いでないからね」

「うん……」

 うなずきながらも、頭の中は楓くんのことでいっぱいだった。

 本当に冗談?

 それとも、また、いつもの意地悪?

『ったく、めんどうだよなー』

 思い返したら、胸がキュッとしめつけられた。