え、え、え?
「どういうこと?」
ふたりの顔を見くらべて言ったら。
楓くんはニヤッと笑った。
「冗談だ、本気にするんじゃねーって」
気づくと、樹くんも苦笑いをしている。
やられた!
わたしは抱えていたクッションを楓くんに投げつけた。
余裕で、ひょいと首の動きだけで避けた楓くん。
「楓くんのバカ! 樹くんの顔で冗談なんか言わないでよっ」
腹をたてながらも、心の中ではちがうことを思っていた。
本当はわかっているよ。
冗談でも言わないと、やってられない状況だからだよね。
樹くんも楓くんも、日常を取りもどそうとしているだけ。
そんなふたりにわたしも応えるんだ。
できるだけ以前と同じようにしよう。
「そういえば、ひとつ、問題があるんだった」
楓くんは話を進めた。
「おれが樹になっちまった以上、理子とつきあうのはおれってことになるのか?」
