「いいえ、いいんです」

 わたしはフクザツな気分で、「どうぞ」とおみやげに買ってきたケーキを手渡した。

「おじさん、おばさん、あの……樹くんと楓くん、だいじょうぶですか?」

 おばさんとおじさんは目をパチクリ。

 わたしは、あっ、とあわてた。

「だいじょうぶならいいんです。ちょっとおかしなところとか、変わったところがないかなあって、気になったので……!」

 もーう、わたしったら!

 ますます墓穴を掘ってる!

「樹くんと楓くん、お部屋ですよね? ちょっと行って、様子を見てきます!」

 おばさんたちに怪しまれる前に話題を切りかえ、わたしは玄関をあがった。

 勝手知ったる、幼なじみの家の中。

 わたしはまず、玄関から近い楓くんの部屋に向かった。

 ドアをノックして、

「あの、わたし、だけど……」

 おそるおそる声をかけてみる。

「理子? 入っていいよ」