七夕から十日後、ふたりは退院して家に帰ってきた。
美代子おばさんも、単身赴任先から急いで戻ってきたおじさんも、すっかり安心した様子だった。
「今夜はお寿司でお祝いしよう。理子ちゃんもおいで」
と誘ってくれたんだ。
もともと訪ねるつもりだったわたしは、お言葉にあまえて野々村家へおじゃました。
「これ、樹くんと楓くんの好きなチーズケーキです。うちの母は仕事の都合で来られなくてすみません。よろしくとことづかってきました」
「あら、うれしいわ。ありがとう。間宮さんには本当にお世話になったもの。こちらこそ今度お礼にうかがわなきゃ。ねえ、あなた?」
「理子ちゃん、かえって気をつかわせてしまったね」
おじさんもおばさんもうれしそうにニコニコしている。
樹くんと楓くんの中身が入れかわっていることは、もちろんふたりにはヒミツだ。
本来なら話をしないといけないんだろうけど……。