超イケメンなふたごくんは、幼なじみを独占したい 【旧タイトル】ハツコイの誕生日(バースデイ)


 相手も強者らしく、楓くんが怒っても少しも動揺していないんだ。

 返って、よろこばせちゃった感じがする……。

 すると、楓くんのこめかみがピクピク動くのが見えた。

「あのなあ! おれは怒ってんだぞっ!!」

 ライオンのようにガオッと吠えた瞬間、女の子たちは「キャー!」とクモの子を散らすように駆けだした。

 そのあまりの素早さに、あっけにとられたわたしたち。

 しばらくポカンとしていたけれど、ハッと気づいて、楓くんのもとへ飛んでいった。

「楓、やりすぎだって」

 いきりたった楓くんの肩をつかみながら、樹くんが言った。

「そうだよ、楓くん。楓くんの印象がわるくなっちゃうよ」

「やりすぎなもんか! 先にちょっかいをかけてきたのは向こうだ。これでもガマンしたほうだぞ、おれは」

 わたしたちにそう言ったあと、楓くんはつまらなさそうに首を制服の襟の中にすくめた。

「おれは、あーいうのが嫌いなんだ。言いたいことがあるならコソコソやってないで、どうどうと言えってんだ」

 楓くん……。

 らんぼうな口調だけど、わたしをかばってくれたんだ。

「ありがとう、楓くん」

 わたしがお礼を言ったら。

 楓くんはちょっと照れたように短い息をはいて、

「べ、べつにっ」

 プイッと顔をそむけた。それから、

「あーあ、怒ったらハラへったぜー」

 おなかの辺りをさすりながら、情けない声をだす。