「……わかりました。おばさん、樹くんと楓くんに会ってきます」
うなずき返したわたしは、まず、樹くんの病室のドアのとってに手をかけた。
*
病室におそるおそる入っていったら、ベッドの上で窓の外を見ていた樹くんがこちらをふり返った。
「理子」
いつもの、あのやさしい声で、わたしの名前をよぶ。
まだ頭に包帯を巻いて点滴をしていたけれど、それ以外は元気そうに見える。
事故の前とちっとも変わっていない、樹くんの顔を見たとたんにホッとして、また涙がこぼれそうになってしまった。
わたしは、あわてて涙をふいた。
「よかった、もう会えないと思ってた……。わたし、すっごく心配したんだよ……」
「ごめん、心配かけて……」
樹くんは、申し訳なさそうにほほ笑んだ。
「理子、びっくりした?」
と、目を細める。
「うん、びっくりしたよ」
