すると、美代子おばさんは、わたしの手から花びんをとりあげた。
「理子ちゃん、ふたりに会ってやってくれる?」
「い、いいんですか?」
会えるなら、すぐに会いたい!
「でも……」
樹くんには、告白の返事をちゃんとしていないまま。
楓くんともケンカ別れしたままだ。
それが、ふたりに会いたい気持ちにブレーキをかけて、わたしをためらわせた。
美代子おばさんの目には、わたしが遠慮しているように見えたんだろうな。
「お医者さまも、もうだいじょうぶ、ですって。このあとは検査して問題がなければ、退院できるって言われたの。ふたりも理子ちゃんの顔を見たら、きっとよろこぶわ」
美代子おばさんの気持ちが痛いくらいわかった。
樹くんと楓くんを元気づけてほしいんだ。
わたしだって。
自分にできることなら、なんでもやってあげたい。
その気持ちに変わりはない。
