いろいろな七夕かざりのほかに、

「病気が治ってママにあいたい」

「お金持ちになりたい」

「はやく学校に行けますように」

 それぞれねがいごとが書かれた短冊がぶら下がって揺れていた。

 どれもみんな、つたないクレヨンの文字。

 ここに入院している子どもたちが書いたんだろうな。

 心をこめて、いっしょうけんめい書いたにちがいない。

 かわいいな……。

 おねがいごとがたくさん書かれた短冊を見ているうちに、わたしは肩の力が抜けて少し楽になった。元気をもらえたような気がしたんだ。

 みんなのねがいごと、かなうといいね。

 自然に笑みがこぼれる。

 ふと視線を横に動かすと。

 笹の脇に置かれたテーブルの上に、短冊とクレヨンが入った書類箱のようなものがあった。「ご自由にどうぞ」という一文が書かれたメモが添えられている。

 わたしも書いてみようかな。

 ねがいごとなら、もう決まっている。

 わたしはペンを手に取って、短冊に書いた。



 織り姫さま、彦星さま。

 おねがいです。



「樹くんと楓くんが、はやく目を覚ましますように」