元気をださなくちゃ。

 樹くんと楓くんのために、美代子おばさんのために。

 わたしが、がんばらなくちゃ。

「それなら、わたしが行ってきます。おばさん、そのあいだ休んでいてください」

 ニコッと笑って言う。

「それじゃあ、頼んじゃおうかしら?」

「はい、いってきます!」

 はりきって花びんを受けとり、わたしは今来たろうかを引きかえした。

 やがて、学校の教室の二倍以上の広さはある、大きな部屋にたどり着いた。そこは、入院患者さんやお見舞いに来たひとたちが過ごす談笑室だ。

 そこなら、だれもが自由に使える水道があったはず。

 思いだして中に入っていったら、色とりどりの短冊が目に飛びこんできた。

「あっ、七夕の笹……!」

 ちょうど真正面の壁際に、七夕笹がかざられていた。

 そっかあ、今日は七月七日だ!

 わたしは水道のあるほうに行かず、笹の前に行った。