楓くんが先頭で、そのあとをわたしと樹くんが歩いていく。
一台、また一台と、車がわたしたちの横を猛スピードで走り去っていくけれど、車道側に樹くんがいてくれるからこわくはない。わたしは安心して歩くことができた。
一方、楓くんは自分のペースで歩いている。チラッとふり向いてもくれない。
いっしょに歩いてくれないから、ちょっとさみしいかも……なんて思っちゃうのは、おかしいかな? 小学生のときは、三人で和気あいあい、にぎやかに歩いていたせいだね、きっと。
こんなふうに、ふたりはれっきとしたふたごなのに、ちっとも似ていないんだ。
オセロの駒のように白と黒、まるっきり正反対。
持っている雰囲気も性格も態度も、ぜんぜんちがう。
けれど、ふたりには共通しているものがある。
それは、女の子にモテるっていうこと。
「あっ、野々村くんたち!」
「きゃっ、いつ見てもカッコいい~!」
ひとかたまりになって通学路を歩く、女の子たちグループから黄色い声があがった。
それだけで済んだらよかったのだけど。
ついでに、わたしまで顔の辺りにチクチク視線を感じてしまった。
