うちのお母さんは昔、ふたりのことをまとめて「野々村さんとこのふたごちゃん」とよくよんでいた。だから、わたしもなつかしい言い方をしちゃって、と思ってしまったのだけど。そのあとの「うちの病院」って……。
お母さんは、大学病院で事務の仕事をしている。この辺りではとても大きな病院だ。
「うちの病院って、お母さんとこの病院?」
まさか、と思いながら聞いてみると。
「そうに決まってるじゃない! 理子、ちゃんと聞いてるの? 樹くんと楓くんがふたりそろって救急に運ばれてきたのよ!」
ウソ。
とても信じられなかった。
「ふたりとも!? どうして……!」
ガクガクひざがふるえだす。
「それがね、どうも歩道橋の階段から落ちたらしくて、ふたりとも頭を打ってるの。意識がなくて、今は精密検査中で……。お母さんはもう仕事が終わったけど、美代子さんが心配だからダンナさんが来るまでつきそうことにしたわ」
