じつは、うちのお母さんに負けないくらい、樹くんは心配性だ。
ここまで過保護にされると、小さい子どもになった気分。
また恥ずかしくなってきて、目を伏せてしまいたくなっちゃった。わたしはそれをガマンして、コクンとうなずいた。
さらに樹くんは、学校までの道のりを、わたしの歩調に合わせてゆっくり歩いてくれる。
「樹くん、ありがとう……」
「どういたしまして、お姫さま」
まぶしい朝陽のように、樹くんが笑った。
わたしが「お姫さま」なら、樹くんは「王子さま」だね。
チラチラと木もれ日。
空を見あげたら、まつげに光の粒が落ちてきた。
