「いくら、わたしのことが嫌いだからって……」

 口からポロッとこぼれた言葉に、確信を持つ。

 そうだ、楓くんはわたしのことが嫌いなんだ。

 さっきやさしくしてくれたのだって、きっと気まぐれからだ。

 だって楓くんは意地悪だもん……。

 わたしは後ずさった。

 こっちに来ないで。

 これ以上、悲しい気持ちにさせないで。

 大きくひとつ息を吸ってから、思いきってさけんだ。

「楓くんのバカ! もう知らない!!」

 わたしは走って、その場を逃げだした。