『僕は理子が好きだよ。幼なじみとしてだけじゃなく、たったひとりの大切な女の子としてね。ちっとも気づいてなかっただろ?』
樹くんの告白の言葉を思いだしたとたん、胸の奥がキュッとなった。
どうして、あのころのままでいられないんだろうなあ……。
とってもしあわせだったのに。
男の子も女の子もなかったのに。
神さまって、ほんとに意地悪だ。
「かえ、でー!」
「何やってるんだよ!」
「女子にうけようとしやがって!」
気づくと楓くんは、仲間たちに怒られていた。
フフッ、じゃれあっているみたい。
プロレスごっこで首をしめられるようなことをされているのに、楓くんはお日さまみたいに笑っている。
「わあっ、かんべんしろって!」
わたしが会いたいと思った、とびっきりのなつかしい笑顔だった。
今では、めったに見せてくれなくなったけれど。
