わたしはバイバイと手をふる。
優雨ちゃんが教室からいなくなってしまうと、わたしひとりだけポツンと残った。
わたしたちが話しているあいだに、掃除当番のひとたちも帰ったみたい。教室はガランとしていて、ふだんより広く感じた。
遠くからのざわめきに、時折聞こえてくるだれかの笑い声。
それらのひとつ、ひとつが、この静まりかえった空間との隔たりを感じさせる。
わたしは机に片ひじをついて、ほおづえをした。
まだ動かないほうがいいかな。
でも、やることがない。
ヒマを持てあましたわたしは、窓の外を見た。
校庭を見おろすと、グラウンドにサッカー部がいた。
楓くんは……? あ、いた!
一年生はコートの外でパスの練習中。ふたりひと組になって、かわりばんこにボールをけっている。
楓くんは左足のつま先で、ちょうどボールを高くけりあげたところ……と思ったら!
