腕を曲げて、勝利のガッツポーズ。
「優雨ちゃん……」
うれしくて胸がジーンとした。
クラスの中で気さくに話しかけてくれるのは、今は親友の優雨ちゃんひとりだけ。
あとのみんなは、わたしに近づいてこない。
けど、大親友の優雨ちゃんが味方だから平気だよ。
「ありがとう。わたしも元気ださなきゃ」
もういちどお礼を言って、ニコッと笑う。
「そうだよー。意地悪なひとたちに負けちゃダメ」
勢いづいた優雨ちゃんは、ガタッとイスをひいてすわった。
「このあたしがついているから、ドーンとまかせて。樹くんも心配していたよ。僕のせいでゴメンって言ってた」
「樹くんが……?」
心臓がコトリと音をたてた。
「女の子たちにまわりから見られていたけれど、どうどうとあたしにそう言ったよ。みんなに聞こえるような声で。樹くん、やさしいだけじゃないね。勇気あるね」
責任感の強い樹くんらしいな。
