「あのね、楓くん、大好きだよ。ずっとそばにいてね」 楓くんのひとさし指がわたしの涙をすくい、そのままおりてくる。 わたしの顔を上向きにした。 「どこにも行かねーよ、約束する……」 くちびるにあったかい感触。 ドキッとした。 世界中のときめきを集めたみたい……。 キスってうれしいものだったんだね。 「うん、約束」 わたしたちは、おでことおでこをくっつけて笑った。 そして、もういちど、くちびるを重ねる。 心に花が咲いたから。 今日がきっと、ハツコイの誕生日だね。 END