楓くんは、わたしの手をにぎった。
「うん」
うれしくなって、わたしもにぎり返す。
ちょっと照れたように口ごもってから、
「また会えてよかった。理子のとこに戻ってこられてよかった。理子と離れていたくなかったよ……」
楓くんは強引にわたしの肩を引きよせて抱きしめた。
「好きだ」
胸がキュンと甘くしめつけられて。
あわく目の前がにじんでいった。
あたたかく、広いその胸の中で、目をそっと閉じる。
「うれしい、楓くん。わたしもね、楓くんにすごく会いたかったの……」
「り、理子……!」
楓くんは何が起きたのか信じられないようすだった。
思いっきり動揺している声。